書道用品通販|筆墨硯紙|書道用品販売専門店 【営業日のご案内】月~金曜日 10:00~18:00 土・日・祝日は休業日
ホーム文房四宝とは?
墨のお話
墨の製造 (呉竹ホームページから引用)


















国のあけぼのは墨とともに

中国・朝鮮・日本など東アジアで古くから筆記材料として使われてきた墨は、数千年の風雪に耐える記録材料として、歴史を語り伝えて今日に至っています。 製墨については、推古天皇一八(610)年に高麗の僧、曇徴が墨造りを伝えたとの『日本書紀』の記載より古い史料は見当たりません。ともあれ朝廷の置かれた明日香で墨造りが始まり、なかんずく宮廷に造墨手が置かれて、本格的に生産されるようになりました。 

政治の中心はやがて明日香から奈良へ、奈良から京都へと移ります。墨造りは遷都とともに奈良で行われるようになったに違いありません。ところが都が京都へ移ってからも、奈良にたくさんの社寺が残り、学問の中心として栄えましたので、墨造りの技はここに留まりました。以来一千年余、伝統産業として全国需要の90%がここ奈良で造られています。
墨は膠を展色剤とし、これに有機物を燃やしてできる煤という着色剤を分散させ、香料その他の伍剤を加えてできています。

気温が高く湿気の多い夏場は膠が腐りやすく、墨造りに適しません。そのため墨造りは毎年十月中旬から翌年四月末位までの寒期に行います。墨の原料のうち、煤は松の木とその樹脂を燃やすか植物油を燃やして作り、前者を松煙墨、後者を油煙墨と呼びます。

そのむかし松煙から墨造りが始まりましたが、今ではほとんどが油煙墨です。松煙をとるには、紙張り障子で囲った小屋にかまどを設け、アカマツの荒肌にキズをつけ松やに(樹脂)のにじみ出た部分をそぎ取ったものを燃やします。まわりの障子・天井にたっぷり煤が付くので、羽ぼうきで払って集めます。

油煙の材料となる油はアブラナ・ゴマ・ツバキ・キリとさまざまで、中でもアブラナつまり菜種油が価格・品質・火の立ちぐあいを総合的にみて最も適しています。他に改良煙煤とよばれる普及品むけの煤があり、石油から得られるアントラセンなどの鉱物油を燃やして作られます。油煙のような深みはありませんが、粒子が細かく均質で赤みを帯び、植物油煙とは違った味があります。

土器式採煙は効率が悪く、品質むら・原料むだが出やすいので、当堂では油を燃す灯芯の列の上を回転する円筒とし、円筒につく煤を自動的に払い集める自動採煙機を開発し、高品質の油煙を採取しております。膠は動物の皮・骨やにべ(結合組織)を煮出してできるゼラチンを固めたものです。固形墨に加わった膠の役割は煤の粒子を接着させて墨の形に整えることにあり、墨液に磨られてからは、膠と水という本来なじまないものをなじませ、適度な粘りを与えて伸びをよくし、紙に移っては煤粒子を紙に接着させ、艶を添え、いわゆる墨の色をつくり出します。

膠を溶かすには湯煎という方法をとります。熱湯にわかした釜の中に膠と水を入れた器をつける二重釜で溶かすものです。膠にはなまぐさい匂いがあるので、この匂いを和らげるために、麝香・龍脳・梅花香などの香料が加えられます。

膠が炊けたら、煤と膠を充分に練り合わせます。日本では、重量比で煤と膠とを10対6に混ぜ合わせるのが一般向きとされ、細字、かな用の墨は膠の含有率を少し減らして粘度を下げます。
練りあがった墨玉を木型に入れます。固形墨には大きさがいろいろあり、日本では仕上がりの重さ15gのものを一丁型と呼んで基準とします。0.5丁型から20丁型以上まで作られ、形は長方形のほか円形・多角形・扇面形などがあります。

一丁形の墨を作るには、なまの墨玉26.25gを要し、木型はそれだけ完成品より大ぶりです。充分に練り上げられた墨玉をちぎって秤量し、木型に入れてプレスで加圧します。そのあと型から出された墨を放っておくと、表面ばかりで乾燥が進んでひび割れします。それゆえ全体にゆっくり乾くよう表面の乾きを遅らせるため、湿った木灰を入れた箱の中に埋め、少しずつ周りの木灰に水分を取らせます。

日ごとに水含みの少ない灰に入れ換えながら木灰の乾燥を約7~20日間つづけます。ある程度堅くなった墨を稲藁で編んで天井からつるし、30~90日間空気乾燥します。 乾きあがったら、乾燥中に付着した灰やごみをサッと水洗いし、すばやく拭き取って上薬をかけます。墨の表面仕上げには、つや消しの「生地仕上げ」と、ハマグリ貝でつやを出す「研ぎ仕上げ」とがあります。

磨き終わった墨を再び乾燥室に入れ、井型に桟積みして一ヶ月置きます。その後表面の文字や絵柄に彩色し、箱に収め包装します。


筆のお話
筆の種類は大きさや毛の材料等により大別はできますが、実際のところ区別のつかぬものなど多種多様です。使用するだけでなく賞玩筆といい鑑賞し楽しむ筆もあります。筆は筆管・穂先の材質・形状によりいろいろと分類されます。

●語源 奈良時代以前から使われている筆記用具。古くは「文手 ふみで」といわれており「文手」の「文」は手紙などを意味し「手」は書くことの意。「ふみで」が「ふむで」となり「ふで」となったようです。

●鼬毛 先がよく利き、毛に弾力があって、まとまり、墨含みとも申し分なく細筆には理想的な毛といえますが、欠点は磨り減るのが早いということです。中国本土に生息する「唐イタチ」とシベリア、北ヨーロッパ地域に生息する「コリンスキー」とが知られています。「唐イタチ」は毛が短く弾力があり毛先にも力があるので細筆に向いています。また「コリンスキー」は寒い地方に住んでいるのて「唐イタチ」に比べて毛筋が細くて長く、半紙書きなどの中筆や太筆によく用いられています。

●狸毛 白狸毛は先の力はイタチ毛以上に強くてよく利き丈夫ですが、まとまりや墨含みの点でやや劣るので、羊毛や鹿毛などの毛と混ぜて、その欠点を補う場合もあります。黒狸毛と白狸毛の違いは毛の生えている所の違いで、白狸毛のほうが毛が細く力もあり上質とされています。

●猫毛 猫毛は玉毛とも呼ばれ、先が鋭く尖り、まとまりがよく、粘りや弾力にも富んでいるので仮名筆や極細字用の面相筆などによく使われます。この毛も磨り減るのが早い寿命の短い毛です。玉毛は毛が短く綿毛が多いので筆に適した硬い毛はなかなか取れにくいようです。その中で、特に背筋や肩の毛から取れる最も上質なものは「走り毛」と呼ばれ蒔絵筆の原料になります。

●兎毛 昔は日本でもよく使われましたが、今ではほとんど使われなくなりました。この毛はイタチ毛以上に硬く弾力がありますが、毛筋が粗くややまとまりに欠けるようです。唐筆の紫毫が野兎の毛にあたります。

●鹿毛 鹿毛は弾力があって、墨含みは良いのですが、毛筋が太くまとまりが悪いので、ほとんどの場合「腰毛」に用います。また折れやすく耐久性に乏しい毛でもあります。

●馬胴毛 馬の胴毛は毛筋が細かくまとまりが良いので、狸毛などの硬い毛と混ぜて細筆の芯に使われますが、そのほかに化粧筆などに使われることもあります。

●兼毫筆 二種類以上の動物の毛を柔らかい毛と硬い毛の混ぜる比率を変えて作った筆です。

●筆のお手入れ 最初に筆おろしされる時はおろそうとする部分まで軽く揉みほぐして糊をとり、下ろした部分を水につけて紙の上でよくならしてください。おろした部分まで水を一度含ませてから墨をつけると墨が筆によく馴染んで使用後、墨を洗い流すとき、墨分がすっと流れ出てくれます。細筆の場合は根元の糊が落ちないようにティッシュなどに水を含ませ、その上で何回か丁寧に墨分を取り除いてください。
  Powered by おちゃのこネット
ホームページ作成とショッピングカート付きネットショップ開業サービス